年末は私の実家の京都市内にも少し雪が降りました。
温暖化の影響もあって京都市内に雪が降るのは年間を通してもほんの数回。積もる程の雪が降る事なんて年に1、2回あるかないかという感じで、京都の雪景色は非常にプレミアム化しています。
今回の場合も「年末は大雪が降る」という前評判があったにもかかわらず実際に京都市内に雪が降ったのはほんの数時間でした。
そんなプレミアム化した雪景色撮影では、絶対に失敗したくないところですよね。
今回は比較明合成という現像・合成方法を使用する事でストロボを用いた雪景色撮影の失敗を無くして撮れ高を増やし、より幻想的に雪景色を演出するための現像テクニックをご紹介します。
CONTENTS
現像前と現像後
まずは今回の現像テクニックを用いたビフォーアフター。京都府の絶景スポット法観寺の五重塔と雪の降る京都の町並みをサンプルに使用します。
現像目的
今回の現像テクニックを使用する目的は
- 雪玉を増やしてより幻想的に演出する
- 雪玉のバランスを整える
- 撮影時の失敗を無くす
- 撮影枚数を減らして時間短縮する
事が目的となります。
ストロボで雪景色を撮影していて非常に悩ましいのが、雪玉が美しく写るかどうかは
完全に運次第
である事。F値を変えて雪玉の大きさをある程度調整する事は出来ますが、思っている場所に良い形で雪玉が写ってくれるかどうかは完全に運次第です。
本来作品としては思い描いている位置に雪玉が写ってくれるまでひたすら撮り続けるのが一番いいんですが、数十枚撮っても思った位置に雪玉が写らないなんて事はざらですよね。
ひたすら撮影しているうちに
- SDの容量が無くなる
- カメラのバッテリーが切れてしまう
- ストロボのバッテリーが切れてしまう
- 雪が止んでしまう
なんてこともしばしば。
今回の現像テクニックを使用すればそんな悩みは全て解決出来るので非常にオススメの方法です。
ただし、あくまで「合成」の分類にあたる現像方法ですので合成を認めていないフォトコン等には出せなくなる可能性がある点だけ注意して下さい。
現像に必要なソフト
現像に使用したのは
- Adobe Photoshop
- Adobe Lightroom
の二つのソフト。
撮影時に必要な事
今回の現像テクニックを使用するのに必要な事は
- 素材となるストロボ撮影した写真を複数枚用意
- 三脚を使用して撮影
する事だけです。もちろん撮れた写真をモニターで確認ながらの作業にはなるのですが、多くの場合
2~5枚の撮影で十分
かと思います。比較明合成という合成方法を使用するので、素材となる写真はメインの被写体が全て同じ位置からずれないよう三脚を使用して撮影します。
今回のサンプルでは下記のスライドの1・2枚目の写真を使用して3枚目の写真に仕上げました。
現像ステップ1 素材となる写真の補正
まずはLightroomで素材となる写真の補正を行っていきます。
補正ビフォーアフター
五重塔と京都タワーが明るいので白飛びを防ぐために暗めに撮影したものを明るく補正し、幻想的な青い雪空を演出するように少し色味の補正を行っています。
補正項目
レンズ補正
- 色収差を除去にチェック
- プロファイル補正を使用にチェック
- 周辺光量補正を0に戻す
色収差は発生していないように見えますが一応チェックしておきます。
プロファイル補正を使用にチェックしてレンズの歪みを除去。
周辺光量補正は使用せず、0に戻してあえて周りを暗くする事で五重塔を引き立たせます。
変形
- 自動をクリック
- 切り抜きを制限にチェック
自動をクリックして五重塔の傾きを少し補正。変形に伴って写真の周囲が白抜きになってしまう事があるので白抜き部分が書き出されないように切り抜きを制限にチェックしておきます。
基本補正 明るさ
- 黒レベル・白レベルを上げて全体を明るくする
- シャドウを上げて暗い部分の明るさを調整
- ハイライトを下げて白飛びした部分を抑える
雪の降る幻想的な雰囲気を出すためにある程度の暗さは残しつつも全体を明るくします。
基本補正 色表現 明瞭度
- 色温度を調整
- かすみの除去を下げる
- 自然な彩度を下げる
- 彩度を下げる
色温度を調整して少し青みを足し、雪の降る寒空を表現。かすみの除去・自然な彩度・彩度を下げて少しふんわりと柔らかい表現にします。
HSL/カラー
- オレンジの彩度を下げる
- ブルーの彩度を下げる
オレンジの彩度を下げて五重塔の渋い感じを出し、ブルーの彩度を下げて過度な演出となり過ぎないように全体の青みの微調整を行います。
ディテール
- シャープ適用量を上げる
- シャープ半径を下げる
- シャープディテールを上げる
- シャープマスクを上げる
- ノイズ軽減輝度を上げる
シャープを調整して五重塔の瓦や垂木のディテールを出し、ノイズを軽減で明るくする事によって少しだけ出てきたノイズを抑えます。
円形フィルター
- 円形フィルターをクリック
- 五重塔を円で囲う
- 露光量を下げる
仕上げとして円形フィルターを使用して五重塔以外の部分の露光量を下げ、五重塔を少しだけ引き立たせます。
効果
- 切り抜き後の周辺光量補正適用量を下げる
最終微調整で周辺光量補正適用量を下げて景色に没入感を出します。
素材となる全ての写真に同様の補正を適用
素材となる写真の補正が1枚完了したら、続いて同じ補正を素材となる写真全てに適用します。
- まず補正済の写真をクリック
- Ctrlを押しながら素材となる全ての写真をクリック
- 同期をクリック
- 補正を行った項目全てにチェックを入れて同期をクリック
これで素材となる写真全ての補正が完了しました。
現像ステップ2 比較明合成
引き続きPhotoshopで比較明合成を行っていきます。
Photoshopでレイヤーとして開く
- Lightroom上で補正した写真を全て選択
- 右クリック
- 他のツールで編集
- Photoshopでレイヤーとして開く
でPhotoshopでレイヤーとして開く事が出来ます。
Photoshopでレイヤーとして開かれました。
比較明合成を行う
レイヤーパレットの全てのレイヤーを選択し、四角で囲った場所をクリック。
比較(明)を選択。
素材となる写真の明るい部分が合成され、雪玉の数が増えてより幻想的になりました。
このままでも良いといえば良いのですが、いくつかバランスの悪い雪玉があって画面がうるさくなってしまっているので消していきましょう。
不要な雪玉を消す
丸を付けた雪玉が少しバランスが悪かったり、雪同士の重なりが多すぎてうるさくなっているので消していきます。
レイヤーパレットの目のアイコンをクリックしてどのレイヤーに写っている雪玉なのかを確認します。
不要な雪玉が写っているレイヤーを選択し、ブラシツールを使って黒く塗りつぶします。
全ての不要な雪玉を消し終わりました。
完成
以上で雪玉のバランスのとれた幻想的な雪景色の現像完成です。
合成なので現像方法として好き嫌いの分かれるところかと思いますが、星景やホタルの比較明合成と同じで私の中ではギリギリセーフかな?と思ってます。
撮影時の貴重な時間を時短して、雪景色を失敗せずに美しく撮りましょう!