2021年の年末は全国的にすごい雪が降りましたね。私は仕事で未だ雪景色の撮影に行けていないんですけど、これからの撮影に向けておさらいの意味も込めて私が普段使っている雪景色の現像方法についてまとめていこうと思います。
なお、この記事では現像ソフトとして業界標準のRAW現像ソフトと言われるAdobeのLightroomを使用しています。
CONTENTS
RAW現像とは
そもそもRAW現像って何?という方は下記記事にて一眼レフカメラのRAW現像の始め方について詳しく解説していますのでご覧ください。RAW現像を始めると写真が100倍楽しくなりますよ♪
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【現像方法】RAW現像の始め方-RAW現像で写真を100倍楽しむ
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雪景色の映える表現方法
雪景色の表現方法について考える
ひとえに雪景色といっても風景写真のくくりだけでも
- 雪景色+神社・寺院
- 雪景色+海・川・湖・池
- 雪景色+集落・街並
- 雪景色+棚田・山
- etc・・・
と実に様々な組み合わせの被写体があります。また雪景色の状況としても
- ビュウビュウと吹きすさぶ吹雪
- シンシンと降る雪
- 降ってないけど降り積もった状態
- etc・・・
などなど色んな状況があるので、「雪景色といえばこの現像方法!」みたいなのは無いんですけど、現像する上で大事にしている事は
その景色の何に感動したのか
という事です。雪景色に限った話では無いですけど写真の現像をしていく上では、自分がその時感じた感動をそのままストレートに写真に乗せていくのが現像迷子にならずに上手くいくコツでもあり、感動が伝わりやすい写真になるんじゃないかなと思います。
なので現像迷子になりやすい方は現像する前にまず一呼吸おいて、自分が何に感動したのか思い出して表現の方針をしっかりと固めてから現像してみましょう。
雪景色の表現パターン
とはいえ色々な場所に出かけて雪景色の撮影をしていると割と上手くいくパターンみたいなのが次第に出来てくるので、現像テクニックの前にまずは私がよく使用する表現方法のパターンについてご紹介しようかと思います。
青く凛とした雪景色を表現
雪景色の現像方法・表現方法の中でも割とオーソドックスなのが、色温度を青に振る事で雪景色・冬の「冷たさ・寒さ」を表現する方法。
青くしすぎて不自然にならないように注意が必要ですが、青ければ青いほど冷たく寒い状況を強調する事が出来ます。
青白くシンシンと降るメルヘンな雪景色を表現
私が一番好きな雪景色の表現方法がこのシンシンと雪が降るメルヘン感満載の表現。撮影時にストロボが必要ですが、丸く可愛い雪玉がシンシンと降る様子はなんとなくクリスマス感もあって楽しい表現方法です。
メルヘンに表現する場合は冬の感じは残しつつもどこか温もりも感じるように表現するので青の彩度を落として柔らかい青で表現し、全体としても明るめに現像します。
青く冷たく輝く神秘的な雪景色を表現
こちらも同じようにストロボを使用して雪玉を写した表現方法ですが、同じ雪の降る景色でも「神秘的」な表現をしたい場合は青を割と強めに出し、全体もアンダーで表現して冬の寒さ・凛とした雰囲気を強調して現像します。
黄色く灯る光で雪景色の中の温もりを表現
主に集落・街並み系の雪景色でよく使用する表現方法。寒いからこそその中にひっそりと黄色く灯る光に温もりを感じるような表現になります。寒い青と温かい黄色のそれぞれの色味や、灯りのボリューム感によってかなり違った印象になります。これもメルヘンな印象になりやすいので大好きな現像方法。
雪景色の現像方法
それではいよいよ具体的な現像方法についてご紹介します。
使用ソフト
私が普段使用している現像ソフトはadobeのlightroom。今回もlightroomを使用した現像方法をご紹介します。
青く凛とした雪景色を表現する現像方法
まずはオーソドックスに色温度を青に振る事で雪景色・冬の「冷たさ・寒さ」を表現する方法。
補正ビフォーアフター
滋賀県の絶景スポット「メタセコイア並木の雪景色」の写真を参考例に私の現像方法をご紹介します。
目の前が真っ白になるほどの雪で、遠くの並木が雪の中に溶けていくような不思議な景色が撮れたので今回はその「不思議な雰囲気」を少し強調しながら全体を少し青く振る事で雪景色・冬の「冷たさ・寒さ」を表現していきます。
補正項目1 レンズ補正
- 色収差を除去にチェック
- プロファイル補正を使用にチェック
- 周辺光量補正を0に戻す
色収差は発生していないですが私の場合おまじない程度にとりあえずチェックを入れています。
プロファイル補正を使用にチェックを入れてレンズの歪みをとっておきましょう。レンズの周辺減光はある方が好みなので周辺光量補正は0に戻しておきます。
補正項目2 変形
- 自動をクリック
- 切り抜きを制限にチェック
街頭の垂直が出るように自動をクリックして少し傾きを補正し、白抜き部分が周辺に出来てしまわないように切り抜きを制限にチェックを入れておきます。
補正項目3 効果
- 切り抜き後の周辺光量補正 適用量を-15
奥の方へと自然と視線が導かれるように周辺減光を強調します。
補正項目4 基本補正
- かすみの除去を-30
- 色温度を5000に変更
- 色かぶり補正を0に変更
- 自然な彩度を-5
- 彩度を-5
- 白レベルを+60
- 黒レベルを+29
- ハイライトを+68
- シャドウを+72
今回は雪に景色が溶けていく感じを強調したいのでかすみの除去を-30にしました。幻想的な雰囲気を強調したい時はすごい便利です。
色温度をブルーに振り、撮影時の色味が少しマゼンタに振れていたので色かぶり補正で少しグリーンに振ってすっきりとした青みに修正します。
自然な彩度・彩度をそれぞれ-5にして青みは残しつつも違和感の無い色味に戻していきます。
あとは白レベル・黒レベルをそれぞれ上げて全体的に少し明るく、ハイライトとシャドウも上げて全体のコントラストを調整します。今回はパキッとした感じよりはふんわりと幻想的な雰囲気にしたいので全体的にコントラストが弱くなるように仕上げました。
補正項目5 トーンカーブ
最後にトーンカーブで全体のコントラストを微調整します。
これで青く凛とした雪景色を表現する現像方法は完成です。凛としたっていう割にはだいぶコントラスト弱めにしていますが、氷のような冷たい表現を目指す時はもっとコントラスト強めでパキパキの写真にしても良いと思います。そのあたりは被写体次第で。
ちなみにLightroomのスポイトツールでホワイトバランスを調整した時は下のような写真になります。
こうやって見ると結構青に振っていて、青に振る事で冬の寒さがかなり強調されているのがわかるかと思います。適正ホワイトバランスの色味もノスタルジックな感じで好きですけど、その場で感じた寒さや冬の雰囲気がそのまま写真に表現されているのは青く振った方という感じがします。
青白くシンシンと降るメルヘンな雪景色を表現する現像方法
次はストロボを使用して雪玉を写し、青白くシンシンと降るメルヘンな雪景色を表現する場合の現像方法についてご紹介していきます。
補正ビフォーアフター
京都府の絶景スポット「伊根の舟屋の雪景色」の写真を参考例に私の現像方法をご紹介します。
この時はどちらかというと撮影に行く前から「伊根の街にシンシンと降る雪景色」のイメージ を先行して固めていて、現地の状況がバッチリハマってくれました。
結構盛大に現像でいじっていますが、雪景色撮影の場合はとにかく雪が白飛びしちゃうと色が乗らないので暗めに撮影して現像で明るく戻すようにしています。
補正項目1〜3 レンズ補正・変形・効果
レンズ補正・変形・効果は同じなので割愛します。
補正項目4 段階フィルター・円形フィルター
段階フィルターで山の部分と海の部分の露光量を下げて建物の部分を強調します。
円形フィルターで周辺を暗くして更に建物の範囲を強調。
補正項目5 基本補正
- かすみの除去を-30
- 明瞭度を-15
- 色温度を5250に変更
- 色かぶり補正を0に変更
- 自然な彩度を-10
- 彩度を-10
- 白レベルを+32
- 黒レベルを+60
- ハイライトを-95
- シャドウを+89
今回は雪がシンシンと降る幻想的な柔らかい雰囲気を出す為にかすみの除去を-30、明瞭度を-15、自然な彩度・彩度をそれぞれ-10にしてふわふわの雪が降る淡い雰囲気に。
少し温かい色に戻す為に色温度をアンバーに振り、緑味が強すぎたので色かぶり補正で少しマゼンタに振って修正しました。
あとは白レベル・黒レベルをそれぞれ上げて全体的に少し明るく、屋根の上の雪が目立ちすぎるのでハイライトは-95とがっつり下げました。シャドウも思いっきり上げて全体のコントラスト弱く淡い表現に調整します。
補正項目6 トーンカーブ
トーンカーブで全体のコントラストを微調整して更に淡くフワッフワに仕上げます。
補正項目7 HSL/カラー
- アクアの彩度を+40
- ブルーの彩度を-24
最後にHSL/カラーで色味を調整して伊根の舟屋の伝統的な渋い雰囲気を少し強調します。
これで青白くシンシンと降るメルヘンな雪景色を表現する現像方法は完成です。イメージ 先行で結構盛大にいじっていますが、だいぶ映える表現になったかと思います♪
ちなみにLightroomのスポイトツールでホワイトバランスを調整した時は下のような写真になります。
適正ホワイトバランスの色味もめちゃくちゃ渋くて良いですね。色味に関してはばっちりイメージ を決めてから現像にとりかからないとどっちも良く見えてきて現像迷子になっちゃいます。笑
私の場合は極力その日その時に見た景色と感動を再現したいので、撮影したら忘れないうちに取り敢えず一枚だけ現像を完成させるようにしています。
青く冷たく輝く神秘的な雪景色を表現する現像方法
青く冷たく輝く神秘的な雪景色を表現する現像方法に関してはこちらの記事で詳しくご紹介していますのでご覧ください♪
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Photoshopで比較明合成を使用して雪玉写真を手軽に美しく表現出来る方法についても詳しく解説しています。
黄色く灯る光で雪景色の中の温もりを表現する現像方法
次は集落・街並み系の雪景色でよく使用する、黄色く灯る光で雪景色の中の温もりを表現する現像方法についてご紹介していきます。
補正ビフォーアフター
京都府の絶景スポット「美山かやぶきの里」の写真を参考例に私の現像方法をご紹介します。
ライトアップイベントで光が強いので、光の部分にちゃんと色が乗るようにかなり暗めに撮影して白飛びを防いだ上で現像で暗い部分を持ち上げています。
補正項目1〜3 レンズ補正・変形・効果
レンズ補正・変形・効果は同じなので割愛します。
補正項目4 円形フィルター
円形フィルターでメインの被写体となる左の家屋に自然に視線を誘導するように周辺を暗くします。
補正項目5 基本補正
- かすみの除去を-15
- 色温度を5500に変更
- 色かぶり補正を-9に変更
- 自然な彩度を-3
- 彩度を-3
- 露光量を+0.30
- 白レベルを+30
- 黒レベルを+90
- ハイライトを-70
- シャドウを+85
今回は優しく灯るライトの柔らかい雰囲気を出す為にかすみの除去を-15、自然な彩度・彩度をそれぞれ-3にして優しく淡い雰囲気に。
夜の撮影でかなりブルーに振れていたので全体の青みは残しつつライトの黄色が戻ってくるあたりまで色温度をアンバーに振り、色かぶり補正は少しだけ微調整しました。
青とオレンジがちょうど補色の関係にあるのでライトの部分は気持ちオレンジにすると色調が整いやすいかと思います。
ライトが白飛びしないようにかなり暗めに撮影したので露光量・白レベル・黒レベルを上げてちょうど良い明るさに調整します。
ハイライトを下げてライトの白飛びを修正してシャドウを上げてコントラストを弱く淡い雰囲気をより強調。
補正項目6 HSL/カラー
- オレンジの輝度を-5
- イエローの輝度を-5
- オレンジの彩度を+5
- イエローの彩度を+5
- ブルーの彩度を-10
HSLでライトの輝度を少し下げて黄色の色味を出し、彩度を上げて更にライトの色を出しながらブルーの彩度を下げて全体の青さは少し抑えます。
これで黄色く灯る光で雪景色の中の温もりを表現する現像方法は完成です。伝統集落系の雪景色だと鉄板でハマりやすい現像方法なのでオススメです♪
Lightroomのスポイトツールでホワイトバランスを調整した時は下のような写真になります。
適正ホワイトバランスの色味だと黄色がかなり目立ってきて全体的に温かい雰囲気になりますね。
雪景色の映える表現方法まとめ
私がよく使用する雪景色の表現方法と現像方法について4パターンご紹介しました。こんな表現してみたい!ってちょっとでも思っていただけたら幸いです♪
私自身インスタで色んな人の写真を見ながら「今度はこんな表現で撮ってみよう」と色々と引き出しを増やしているので、また雪景色の鉄板現像パターンみたいのが見つかったら随時追加していきます。
寒い中での撮影は結構しんどいですけど日本にはたくさんの雪景色絶景があるのでしっかりと防寒対策をして色んな雪景色に撮影に出かけてみましょう♪
日本各地の雪景色絶景スポットは下記の記事でご紹介しているのでよければ次の撮影スポットの参考にしてください。
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